学校法人奈良学園

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◇2011-03-21 (月)

冬期公開講座《古典シリーズⅠ》(全8回)第7回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で冬期公開講座《志賀直哉旧居で読む古典シリーズⅠ》の第7回目を開催しました。本日は前回に続き『源氏物語 宇治十帖』(日本文學大系17「源氏物語四」)の「第四七帖 あげまき(総角)」を読み進みました。講師は当館の北森貞次館長です。

つれない大君にもどかしさを感じる薫は、中君と匂宮を結んで大君の気持ちを自分に向かせようと、匂宮を密かに宇治の中君の寝所へ行かせ、自らは大君のそれへ向かいます。ところが、大君はやはり、固く閉ざした障子の隙間越しにしか話をさせてくれず、その隙間から大君の袖まで掴みながら、押し問答。"山鳥"(昼は雌雄が一緒にいるのに夜は谷を隔てて眠る習性とか)のような一夜を明かしたのでした。

一方、匂宮は新枕を遂げ、翌日、翌々日と通うことになります。当時の妻問婚では、新枕の翌日訪ねれば結婚の意志ありとされ、3日目には妻の座確定ということになるそうです。遠路でもその努力が必要で、先生は「男は大変でした。そのDNAが今の男性寿命を女性より短いものにしているのではと私はにらんでいます」と、受講者を笑わせられました。

この日も、重要な文法や表記が随所に現われ、その都度、例を挙げては皆の頭の中をすっきりさせてくださり、細かく一語一語解説しては、通して音読といった読み進め方でした。中で出てきた「むつかし」という言葉は、もともと関西のものでしたが、「むずかし」の関東でも使われるようになったそうです。「これはさんまさんが東京に持っていったのです。"しんどい(心労)"とか、ほかにもたくさんありますよ」と、また一同を沸かせられました。

途中、「私は薫の描写を意識的にピックアップすることで、宇治十帖における薫の人物像を浮き出させようとしています。式部は、薫を通じて何を主張したかったのか、読み取っていきましょう」と、楽しみな課題を提示されました。

今日も昨日来の雨で朝もやの煙る高畑周辺でしたが、旧居をはじめ一帯は馬酔木の花が満開。玄関に生けられた馬酔木を見て「あ、今日は"パチコ"(奈良では馬酔木をそう呼んだとか)やね」という受講者の声が聞かれました。

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