学校法人奈良学園

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◇2011-04-11 (月)

春期第1講座(全6回)第1回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で春期第1講座(全6回)の第1回目を開催しました。本講座は《志賀直哉旧居で読む近代文学シリーズⅢ》と《地名から視たやまと文化》を各3回ずつ前者は京都大学以文会評議員の植村正純先生の、後者は文学博士の池田末則先生の担当で進められます。本日は植村先生による近代文学の講座がもたれました。

先生は、春の講座初回にあたり、ご自身の寄稿文『ぶんがく途中下車』に「いのちの芽吹き」と題してごく最近つづられた中から、文学に登場する"春の表象"を取り上げて紹介くださいました。

北原白秋の「薔薇ノ木二薔薇ノ花サク。ナニゴトノ不思議ナケレド」(白金之独楽)、源頼政の「深山木のその梢とも見えざりしさくらは花にあらはれにけり」(平家物語)、荒木とよひさの「春を愛する人は心清き人 すみれの花のような 僕の友だち」(四季の歌)、大伴家持の「うらうらに照れる春日に雲雀あがり情悲しも独りしおもえば」(万葉集)ほかの詩人・歌人の歌とその人となりを、用意の資料で解説。『四季の歌』では、4番までを全員で合唱、旧居に青春譜のメロディーが響き渡りました。

ほかに、水上勉の『櫻守』、チェーホフの『桜の園』、西行の『山家集』から「願はくは花のしたにて春死なんその如月の望月の頃」などを挙げられ、「春は一年のライフ・サイクル始動のときだからこそ文学の表象も限りなく多彩ですね」とおっしゃり、「ただ今年の春は、つらい始動になりました...」と結ばれました。

次回は、情熱の詩人・島崎藤村の作品です。青年だった藤村が愛し、近代文学の旗揚げをした仙台。このたびの未曾有の大震災で、一変した荒浜や宮城野で生まれた彼の作品を、「レクイエムの意も込めて、かつての仙台はこういうところであったと偲びたいと思います」ということです。

この日の奈良公園から志賀直哉旧居界隈はうららかな春爛漫の様相で、桜の花びらが風に舞う中を28名もの受講生が来館、サロン(食堂)は満席状態のなかで講座が始まりました。旧居の庭も春満開、藪椿や馬酔木、黄水仙のほか、珍しいバイモ(貝母:アミガサユリ)が何輪も花を開き、訪れた人の目を楽しませていました。

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