学校法人奈良学園

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◇2011-05-09 (月)

春期第1講座(全6回)第3回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で春期第1講座(全6回)の第3回目を開催しました。本講座は《志賀直哉旧居で読む近代文学シリーズⅢ》と《地名から視たやまと文化》を各3回ずつ前者は京大以文会評議員の植村正純先生の、後者は文学博士の池田末則先生の担当で進められます。本日は植村先生による近代文学の講座の2回目です。

先生は、「本講座は池田先生の地名学も踏まえながら進めたいと思います」とおっしゃり、その理由を文学作品における"音の変化"にあるとされ、例に「遠敷(おにゅう)」という地名を挙げて詳しく解説くださいました。まず元字は「丹生」でnifu→ niu →njuと、発音しやすいように音韻変化、そして飾り立てる言葉(美称の語)の「小」が付き「小丹生(おにゅう)」となったが、池田先生の講座でもあったように、和銅6年の「二字化令」により「遠生→遠敷」となったのだとか。そして"音の変化"は、平安時代から江戸時代にかけ、①ハ行転呼音 ②唇音退化現象 ③長音の発生 により、明治ぐらいから現代の発音になってきていますと話されました。

その"音の変化"を研究するにあたり、資料として重宝するのがローマ字表記の『日葡辞書』(1600年)だということで、「1980年に日本語訳されたものを求めました」と、実物を皆に披露してくださいました。

続いて、これから学ぶ島崎藤村の筆による万葉歌(春日大社の万葉植物園内の歌碑)2首をお手製の資料で示され、藤村20歳から27歳までの年譜(下山孃子『人と文学 島崎藤村』)を、さらっと追って次回の「仙台と藤村」「藤と藤村」のさわりとされました。

受講生の中に福井県出身の方がいらして、「福井には丹生郡と遠敷郡と両方ありますが・・・」とおっしゃると、先生は「それも面白いからぜひ調べてまた報告してください」と託されました。

夏日のような暑さとなったこの日、旧居の辺りは自生の藤が見頃を迎え、ほの甘い香りを漂わせていました。受講生の中には、直哉の散策路であった飛火野の山藤の群生を愛でたあと、万葉植物園へ立ち寄られた方々もあったようです。

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