学校法人奈良学園

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◇2011-05-23 (月)

春期第1講座(全6回)第4回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で春期第1講座(全6回)の第4回目を開催しました。本講座は《志賀直哉旧居で読む近代文学シリーズⅢ》と《地名から視たやまと文化》を各3回ずつ前者は京大以文会評議員の植村正純先生の、後者は文学博士の池田末則先生の担当で進めています。本日は植村先生による近代文学の講座の3回目です。

昨日からの雨で週末の夏日から一転、季節が逆戻りしたような肌寒さの日でしたが、志賀直哉旧居の食堂は多くの受講生の熱気に満ちました。都合で池田先生と交代された植村先生は前回同様、「文学も、地名学で重要ポイントとなる"音の変化"を踏まえなければなりませんから、地名や歌枕などにちなんだ話も交えながら進めていきます」とおっしゃって講義に入られました。

まずは地名や物の名前の変化についての復習からです。伝わり方には「文字伝承」と「口承(口伝え)」とがあり、大方を占めるのが口承で、発声しやすいように変わってきた(発音上の怠け現象)と。そして「発音・音韻上の変化」と文字に対する政策措置(地名2字令)」などによって変化するのですが、唇音退化現象によるものとして、「あはれ/afare → aware」を例に、ハ行転呼音やp→f→hの変化を教示くださいました。ただ「蝶」のように元々「チョウ」と発音していたのに、「てふ(tefu)」→「teu(二重母音)」→「チョウ(tjo:)」となった特例もあるとのことです。

先生の知識の引き出しは広く奥深いので、話は "貴重な寄り道(by受講生談)"に及び、「あ、古典の授業になりそうだ。近(代)文(学)やります」と、笑わせられる一幕もあった後、藤村の仙台での作品について学びました。

まず、東京での生活にいたたまれぬ思いで仙台へ行った20歳代の藤村が、その地で文学や芸術への強い思いを抱き、創作活動の中で癒されていく過程を『若菜集-草枕-』から読み取りました。途中ダンテの『神曲』や『古今集』、ゲーテの『ウイルヘルム・マイステル 修業時代』などの影響と思われるくだりが出てきますが、「翻訳本もろくになかったあの時代、20歳代の藤村が多くの書物を読んでいたことに驚嘆します」と先生。

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