学校法人奈良学園

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◇2011-05-30 (月)

春期第2講座《古典文学シリーズⅡ》第3回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で春期公開講座《志賀直哉旧居で読む古典文学シリーズⅡ<源氏物語>》第3回を開催しました。本講座は"源氏をめぐる女性たち①"として紫式部の男性観、女性観などを読んでいきます。講師は当館の北森貞次館長です。

本日は、第1巻『きりつぼ(桐壺)』の最終章、源氏の君がその例えようのない美しい容姿から「光る君」と呼ばれるようになり、12歳で元服するところから始まりました。しかし、元服と同時にその身分の違いは儀式などでもはっきりし、帝への挨拶は地面へ降りて下から拝すという厳しさとなります。相撲界の若貴兄弟が藤島部屋へ入門と同時に"お父さん"ではなく、"親方"となったことを例に挙げられ、受講生は今もそういう世界があることを再認識しました。

さて、元服すると添臥(そいふし=男性としても一人前になる儀式)の相手として桐壺帝の実妹と左大臣との娘・葵上と娶(めあ)わせられますが、4歳年上の葵上よりは、藤壺への思いを募らせる源氏の君なのでした。一方で右大臣の娘・四君と左大臣の息子・蔵人少将を結婚させ、紫式部は物語中で仲のよくない右左大臣の均衡をとります。

物語は第2巻の『ははきぎ(帚木)』へ。「人の物言ひさがなさよ」と式部は浮名を流した源氏の弁解を前もってしていますが・・・。名場面「雨夜の品定め」から入りました。源氏と頭中将のところに左馬頭、藤式部丞参籠も仲間入りをして延々4人が女性論を熱く語り合います。女性が書いたとは思えないほど的確な男性心理の描写です。「好き放題に女性の品定めをしていますね。皆さん負けずに皆さんの男性論を書き返してみてください」と、先生。この旧居のサロンに集う圧倒的に女性が多い受講生の皆さんは、次回も4人の殿方の恋愛・結婚経験に基づく女性論を"聞かされる"(笑)ことになりそうです。

台風の影響で季節が1か月も逆戻りしたような一日でしたが、この日もサロンは満席状態、受講者は、先生のユーモアや時にチクリとした批評なども交えた講義に、爆笑したり苦笑したりしながら源氏物語の世界を楽しまれていました。庭の池では1cmほどのモリアオガエルのおたまじゃくしが泳ぎ回り、同じ丸ツゲの木に2つ目の産卵が見つかりました。

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