学校法人奈良学園

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◇2011-06-13 (月)

春期第1講座(全6回)第5回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で春期第1講座(全6回)の第5回目を開催しました。本講座は《志賀直哉旧居で読む近代文学シリーズIII》と《地名から視たやまと文化》でしたが、後者ご担当の文学博士・池田末則先生の都合により、第3回目からは京都大学以文会評議員の植村正純先生に地名学も踏まえた近代文学の講義を進めていただいています。

植村先生は、「本講座では藤村や芭蕉が中心となりますが、土地柄にも結びついた文学作品の鑑賞をしていきたいと思います」とおっしゃって、前回の復習から入られました。近代詩発祥の礎を築いたとも言える仙台での藤村の1年間を、『若菜集』の「草枕」の中に、"漂泊の旅"から"心のよりどころの宮城野"、そして"冬の海へのなじみ"、"早春譜"へと心が変化していく過程を読み取りました。

そして本日のテーマである【藤と文学】です。『伊勢物語』では"藤原氏の栄華を讃える花"として、『枕草子』では"めでたきもの"、『徒然草』では"頼りなげな風情"をそれぞれ作品と結び付けていることを学びました。芭蕉もまた『笈の小文』の中で「草臥れて宿かる頃や藤の花」と、旅の疲労感を藤のおぼつかなき姿に結び付けているとのことです。

先生はまた"芭蕉の藤"に関連して、池田末則先生の『奈良の地名由来辞典』の「夜都岐(やつぎ)」の項を示し、芭蕉が布留社から竹之内峠に抜けたとき、「やぎ」(八木)としたのは「夜都岐」のことだったのではという説を採られました。

受講生の中に、講義の参考資料にと、春日大社の銘木「砂ずりの藤」の写真や、同社「神苑」のパンフを持参くださった方があり、早速皆で拝見しました。また、京都国立近代美術館で開催中の「没後100年 青木繁展」を観てきた方から青木繁と藤村の出会いなどについての報告があり、受講生の方々によるサロン文化の高まりが感じられる日でした。

週末の大雨に洗われて一段と新緑が冴えた旧居の庭には、シモツケソウが濃いピンクの花を、また南天が白い花をつけ、それぞれ控えめですが季節を感じさせてくれています。そして池では体調3~4cmに成長したモリアオガエルのオタマジャクシが元気に泳ぎ回っていました。

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