学校法人奈良学園

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◇2011-07-25 (月)

夏期特別講座「奈良、高畑に佇んで」第2回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で夏期特別講座「奈良、高畑に佇んで」第2回を開催しました。本講座は"白樺派サロン"のメンバーである先生方に講師となっていただきます。本日は「志賀直哉の文学」と題して、奈良女子大学名誉教授の弦巻克二先生をお招きして講義いただきました。

先生は、奈良女子大学をこの春退官、日本文学をやるには宗教の勉強が必要と、花園大学の公開講座を受講中で、禅宗について学ばれているそうです。そして「志賀直哉と宗教」をテーマにするなら、「禅宗」が一番重きを成したのではないかという仮定をもとに、本題に入っていかれました。

資料として、『暗夜行路』や『和解』、「手帳14(まさに『寓居』の折)」などに出てくる禅的な表現を引用しながら、直哉の宗教観を話されました。登場する禅宗の師と問答を『達磨以後 禅宗法系図』で説明しながら、直哉が直感した"自然と自分との一体感"は、禅宗に培われたものではなかったかと述べられました。

直哉は明治45年から大正3年頃まで、父や交友との不和、文学上の行き詰まりなど苦悩の時代を送るのですが、それを宗教的な関心で突破しようと試み、結局"自然と一体化する"禅宗的な生を選んだということです。

台風一過、夏の暑さに戻った今日の午後でしたが、セミ時雨も耳に入らないほど白熱した講義に、参加者は資料を目で追い、深くうなずきながら、先生の一言一句に聞き入っていました。そして挨拶に立った北森館長の「今まで作品を表層的に読んでいたけれど、直哉の生き様がそれほど深く書き表されていたということに改めて感動しました」という結びの言葉で終了しました。

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