学校法人奈良学園

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◇2011-08-01 (月)

特別公開講座《古典文学シリーズⅡ》第9回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で特別公開講座《志賀直哉旧居で読む古典文学シリーズⅡ<源氏物語>》第9回を開催しました。本講座は"源氏をめぐる女性たち①"として紫式部の男性観、女性観などを読んできました。講師は当館の北森貞次館長です。

本日は第5巻の『若紫(わかむらさき)』の続きからです。藤壺が実家へ里下りしたのを「チャンス到来!」とばかりに、源氏は2度目の逢瀬を果たします。藤壺は、義理の息子との一度目の密会のやましさも消えぬ間のことで、宮中での世間体などを気にして悩むのですが、何と最初の過ちで妊娠していたのでした。知らぬは帝ばかり、藤壺だけをいとおしまれます。

先生は、古典文法の復習や注釈の評論もしながら、楽しく読み進め、男性を拒否するばかりでは理解し得ない男性心理の描写に言及、作家・式部の人となりを想像力豊かに解説、<・・・逃れ難かりける御宿世をぞ、命婦は「あさまし」と思ふ。>という表記などから、「随所で仏教思想の投げ込みもしていますね」との指摘がありました。

式部の筆の運びの巧みさが続きます。12歳で夫婦になった4歳年上の妻・葵上との関係をここで浮上させるのです。体調の良くない源氏は義父・左大臣の迎えで葵上のいる邸に行きますが、やはりしっくりいきません。式部はこの二人を離婚させるでしょうか。否、葵上も妊娠していました。では葵上は幸せに? それも否、大変なことが起きそうです。

ところで、例の尼上の孫娘・若紫をその父・兵部卿宮に先んじてどうにか引き取ることが出来た源氏の、そのかわいがりようは大変なものでした。というところで、次回は第6巻の『末摘花(すゑつむ花)』に入ります。

帰りがけ、受講生の皆さんは、花を付け始めた中庭の美男蔓(びなんかずら/実蔓)や藪茗荷(やぶみょうが)を愛で、「ではまた来週ね」と旧居を後にされました。

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