学校法人奈良学園

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◇2011-08-01 (月)

夏期特別講座「奈良、高畑に佇んで」を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で夏期特別講座「奈良、高畑に佇んで」第3回を開催しました。本講座は"白樺派サロン"のメンバーである先生方に講師となっていただきます。本日は「片輪車手箱の流転」と題して、大阪教育大学名誉教授の柳瀬 健先生をお招きして講義いただきました。

「今日は、私が国宝中の国宝と思っている『片輪車蒔絵螺鈿手箱(かたわぐるままきえらでんのてばこ)』(平安時代/国宝)の流転について語りたいと思います」と、まず30名の受講者全員にその絵葉書を配ってくださいました。水波に漂う幾多の車(牛車の車輪)の紋は、金蒔絵に螺鈿を交え、波は磨き出しの金蒔絵で、絵葉書でも十分に美しいそれの本物はいかばかりかと思わせるような小箱です。

現在、東京国立博物館で展示中のこの小箱は同館所蔵なのですが、元々は法隆寺の寺宝だったということです。江戸時代末、財政難の法隆寺を見かねた加賀の銭屋五兵衛(北前船貿易商)が、献金の礼に贈られたとか。しかし五兵衛は密貿易の疑いなどから家財没収の刑となり、小箱はそのとき松江藩の松平家に渡ります。松江藩は九代斉貴のとき、12万両(現在の約120億円)を幕府に献金、手箱はこのお礼だったのではと先生。

大正12年、松平伯爵家はこれを売りに出し、石油王の小倉常吉が26万円(現在の20億円)で落札、昭和27年に文化庁が購入したということです。常吉は、名品ばかりを蒐集
(しゅうしゅう)したといい、『佐竹本三十六歌仙絵巻』が分売されたときもその1枚『僧正遍照』(出光美術館蔵)を入手しています。

と、小箱の流転は、先生の紙芝居的な講義展開で興味深く進められましたが、その裏には先生の"一つの資料から芋づる式に調査研究"されたご苦労が偲ばれました。興味関心のアンテナを広く張られている先生の手元に、必然的に入ってきた古書から紐解かれた「片輪車小箱の流転」、皆さん感嘆とため息を漏らしながら、聞き入っておられました。

さて、講座終了後に楽しいサプライズがありました。絵葉書と切手をセットで集め、風景印を押して通信に利用されているという先生、何と受講生全員にくじびきで30種類の絵葉書とその図柄の切手を張ったものをプレゼントしてくださったのです。いただかれた絵葉書が、どなたのところへどのような届き方をするのか楽しみです。

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