学校法人奈良学園

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◇2011-09-06 (火)

特別公開講座《古典文学シリーズⅢ》を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で特別公開講座《志賀直哉旧居で読む古典文学シリーズⅢ》第1回を開催しました。本講座は源氏物語における"源氏の後半生"として『花宴』から『幻』までの要所の抜粋を、紫式部の男性観、女性観などとともに、読み進めていきます。講師は当館の北森貞次館長です。

新しい顔ぶれも加わった本日の講座は、前回までの復習から入りました。先生は最初に「"光"の修飾語が付くほど、源氏は生まれつき、そして成長後も"絶対的な美"を持つ男性としての設定ということを頭に置いてくださいね」と前置き。源氏は12歳で元服、4歳年上の葵上と結婚、一夫多妻制の世にあって、藤壺、六条、空蝉、軒荻端、源内侍、末摘花など、女性遍歴が続いたわけですが、「どの女性に一番心を砕いたと思われますか? 僕は、藤壺と思うのですが・・・」と言われ、「一方、桐壺帝の子として実は源氏の子を生んだ藤壺はどういう生き方をしたのでしょうか」と、20代からの源氏に入りました。

第8巻「花宴(花の宴)」からです。二月(きさらぎ)、紫宸殿で桜花の宴が催されました。帝の左右には中宮(藤壷)と春宮(東宮)がすわり、その前で頭中将らと共に舞楽や探韻の遊びを披露する源氏は一段と華やかで、藤壺は複雑な思いでそれを眺めるのでした。藤壺は源氏17歳の終わり頃初めて結ばれ、18歳の時の二度目の逢瀬で妊娠、"母として生きるか、女として生きるか"の選択に悩み、母の道を取ったのです。

さて宴後、酔い心地で藤壺渡りを狙いますが叶わず、戸締りの緩かった弘徽殿に闖入。素性も知らぬままに契りを結び、扇を取り交わした若き姫君は、春宮への入内が決まっている右大臣の六の君(朧月夜)でした。一か月後、右大臣家の藤花の宴に招かれた源氏は、装いを凝らして訪れ、歌を詠んで目指す姫君を見つけ出しました。

物語は第9巻『あふひ(葵)』に進みます。桐壺帝が譲位し、朱雀帝(源氏の異母兄)が即位、藤壺の若宮が春宮となり、源氏はその後見人になります。また六条御息所と前春宮の姫君が斎宮になりました。それにつけて桐壺院は、御息所の扱いをおろそかにしてはならぬと源氏に小言、源氏は反省の色を見せます。この段では、「桐壺は天皇の位を退いたあとも "院"として、政治に関わってきます。式部は"院政"を予知していたのでしょうか」と、先生から問いかけがありました。・・・本日はここまで、続きは9月20日です。

台風一過、気温も下がってしのぎやすく、皆さん、物語の世界に没頭されていたようです。先頃旧居の住人になった鈴虫が、今日も涼やかな鳴き声を聴かせてくれました。

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