学校法人奈良学園

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◇2011-10-10 (月)

秋期第一講座6「詩作・歌作の楽しみ~私の詩歌~」を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で秋期第一講座「詩作・歌作の楽しみ~私の詩歌~」第6回を開催しました。講師には、前回に続いて、歌人・上田倫子先生に「短歌を楽しむ」と題してお話しいただきました。

この日の講義は、先生が師事されてきた歌人・前登志夫氏(故人)の紹介からです。氏は、大正15年(1926年)吉野郡下市生まれ、旧制奈良中学(現・県立奈良高校)、同志社大学(応召で中退)を経て、戦後詩作を始めるも、やがて短歌へ転じ数々の作品を発表、斉藤茂吉短歌文学賞、読売文学賞、日本芸術院賞文芸部門賞など多くの賞を受けられました。

上田先生は、師のエッセイ集『樹下三界』から<太鼓の音>を読まれ、「先生のお人柄や雰囲気をイメージしていただけるでしょうか。29年前に書かれたものですが、今なお新鮮です」とおっしゃって、短歌の作品をご紹介くださいました。「短歌はそれぞれの人生経験をベースに感じ取ればよいのです。私は前先生の歌のヒントに留めますね」と、前氏の第一歌集『子午線の歌』から第十一歌集『野生の聲』までの代表作とその詠歌の背景について注釈をつけていかれました。

そして、師が芸術院会員内定の折、短歌新聞に寄せられた言葉「詩は志といわれますが、短歌という伝統の定型詩によって、自分のいのちや世界をうたうことは、千年を超えるオーラというか、歴史や民俗の遺伝子の声に反響し、震撼する魂のふりなのです」「心身ともに自在であり、とらわれるところのない無垢のこころで詠まれたものがいい」が、師の作風を物語っているとのことです。

後半は、宿題だった作品の発表会です。受講仲間の作品を詠み合い、感じたままを述べ合いました。「季節感がある」、「自然体です」、「ユーモアがある」、「とてもタイムリー」、「視覚・聴覚がよく働いている」などなど、先生からお褒めの言葉が次々に出るほど、皆さんの作品は上出来のものばかりでした。

最後に、女流歌人・河野裕子さん(1946~2010)の作品30余首を鑑賞しました。そして先生は、「頭で創るのではなく、自分を全開にして、五感をフル稼働させて、三十一文字に詠み、楽しんでください」と結ばれました。

「本日で秋期第一講座が終了ですが、ここでうれしいお知らせです」と、当館の北森貞次館長から、上田先生が歌集『飛火野』で大阪短歌文学賞を受賞されたというトピックスを発表。また、先日見つかった観音菩薩立像(旧居の客間に安置されていたもので戦後行方知れずになっていたが、このほど早稲田大学・会津八一記念館にあるのが判明)に面会・確認の報告があり、教室中が喜びに包まれました。

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