学校法人奈良学園

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◇2011-10-11 (火)

特別公開講座《古典文学シリーズⅢ》を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で特別公開講座《志賀直哉旧居で読む古典文学シリーズⅢ》第3回を開催しました。本講座は"源氏の後半生"として『花宴』から『幻』までの要所の抜粋を、紫式部の男性観、女性観などとともに、読み進めていきます。講師は当館の北森貞次館長です。

物語は『あふひ(葵)』、例の車争いに因を発した御息所の傷心・乱心の場面からです。一度は斎宮と共に伊勢下向をと源氏との別れも決心した御息所でしたが、源氏の訪れがあればまた心揺らぐのでした。そして、身ごもりながら物の怪にとりつかれた葵上に、源氏をはじめ皆の同情が集まることにねたみを感じ、自分の魂が勝手に葵上のところへ行って暴れるような夢さえ見るもの患いの態でした。

そういう御息所を気の毒に思いながらも、妻・葵上の身が気になる源氏は手紙で見舞うぐらいでした。そんな中、まだ産期には早い葵上が急に苦しみだしたので、源氏だけが側に寄っていきます。そこには、今まで見せたことのない風情で横たわる美しい妻の姿があり、源氏は「かうでこそ、らうたげに、なまめきたる方そひて、をかしかりけれ」と。

続いて葵上の口から発せられたのは御息所の生霊の声。源氏が悪寒を覚えるうち、葵上はにわかに出産、若君(夕霧)誕生に皆大喜びで祝宴ムードがいっぱいです。その様子を耳にする御息所は一層狂気が強まっていきます。葵上は産後も床に伏したままで、その様子に源氏はこの世に有り難いほどの美しさといとおしさを感じ、これまでの妻に対する行いを反省するのでした。

受講の皆さんが古語に慣れてきたこともあり、かなりのスピードで進みますが、「ポイントを押さえた館長の注釈とユーモアで、物語の見せ場をしっかり楽しめました」と、次回の展開を心待ちに帰っていかれました。

本日は館長から、先日早稲田大学・会津八一記念博物館で発見された観音菩薩立像に、今月4日面会してきた報告がありました。発見者の呉谷充利相愛大学教授、行方探しをし続けていらした梁瀬健氏(大阪教育大学名誉教授)らと、対面を果たしてきたとのことです。お二人は共に白樺サロンの会のメンバーで、旧居の講座の講師も務められている方々、またいつの日か、その感動の場面のお話も伺えるのではと楽しみにされた方もありました。

旧居の裏庭の柊の木の根元に、冬の花蕨(フユノハナワラビ)が頭をもたげてきました。

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