学校法人奈良学園

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◇2011-10-18 (火)

特別公開講座《古典文学シリーズⅢ》を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で特別公開講座《志賀直哉旧居で読む古典文学シリーズⅢ》第4回を開催しました。本講座は"源氏の後半生"として『花宴』から『幻』までの要所の抜粋を、紫式部の男性観、女性観などとともに、読み進めていきます。講師は当館の北森貞次館長です。

物語は『あふひ(葵)』の続きからです。葵上は六条御息所の生霊にさいなまれながらも若君を出産した後、結局亡くなってしまい、父親の左大臣や源氏をはじめ人々の悲しみは大層なものでした。

場面は、左大臣邸から紫上のいる二条院へと移ります。打ち沈んでいた左大臣邸に比べ、華やかな様子でした。源氏は居室のある東の棟から紫上がいる西の棟へ通いつめ、ある日とうとう紫上と関係を持ちます。心外だった紫上は、機嫌を損ねますがその姿をますますかわいく思う源氏でした。そして妻に食べさせる"三日夜餅"を、喪中だからと亥の子餅で代用させる心配りをしました。

物語は『さかき(榊)』に進み、斎宮の伊勢下向が近づくなか、御息所はやはり源氏への思いを断ち切れずにいましたが、逢えばつらくなるからと斎宮同行を決断。しかし、いざそうなると源氏はさびしいと思い、立ったまま衝立越しに逢うだけと御息所が一旦移っていた野の宮(嵯峨野)に訪ね、またしても男女の仲になってしまったのでした。

重病だった桐壺帝は「春宮の後見は源氏に」と朱雀帝に遺言して崩御します。帝亡き後、母の弘徽殿や祖父の右大臣が力を持って政治を牛耳り、朱雀帝はそれに逆らえないのでした。右大臣家の勢いの前に鬱々とする源氏は、いつしかあの弘徽殿の妹・朧月夜尚侍(ないし)と密会を重ねていくようになります。男盛りと女盛りの二人でした。

講座では、紫上との初夜も、御息所との再会の場面も、当事者の心の動きを細やかに描きつつ周囲の情景も美しく彩っていくという、紫式部の筆の巧みさが随所に表れていることを読み取りました。また、「衣がへ」や「仮粧(化粧)」「出がて(け)」「装い」など、1000年を経て現代にも残っている言葉も多くあることに気づかされました。そして、先生から「十津川村は、古い言葉が駆逐され関東の言葉が定着しています」など、「大和言葉」の特徴についても興味深い話がありました。

旧居の裏庭でたわわに色づいた柿の実が、一連、二連と干し柿になって、2階の書斎の窓辺にぶら下がるこの頃です。

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