学校法人奈良学園

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◇2011-11-01 (火)

特別公開講座《古典文学シリーズⅢ》を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で特別公開講座《志賀直哉旧居で読む古典文学シリーズⅢ》第5回を開催しました。本講座は"源氏の後半生"として『花宴』から『幻』までの要所の抜粋を、紫式部の男性観、女性観などとともに、読み進めていきます。講師は当館の北森貞次館長です。

物語は『さかき(榊)』の続き、源氏が弘徽殿の妹・朧月夜(朱雀帝の妻)との密会を楽しむくだりからです。ところで藤壺は桐壺帝の一周忌後、女であることより春宮の母であることを選び、出家の身でしたが、後見人である源氏の浮気な行動に対する世間の風聞を恐れていました。しかしまたもや源氏と関係してしまい、深く憂慮する日々でした。

朧月夜が"わらはやみ(おこり)"で里下りしたのを幸いに、源氏は頻繁に会いに行きますが、ある日、父の右大臣に見つかり、右大臣はそれを姉娘の弘徽殿に相談、穏便にと頼みます。が、源氏憎しの弘徽殿、これを機に源氏失脚を諮ろうとします。そこで源氏は自ら退京し、須磨へ行くことを決断。

須磨へ行く前に源氏は関係を持った女性たちと歌を詠み交わし、留守中の面倒見を家司に託すのでした。桐壺帝の夫人・麗景殿女御の妹の花散里(『花ちるさと』)とも然り。帝亡き後源氏がバックアップしていたこの方とも彼は復縁しました。この花散里は後半で重要な役割を果たす人物とのことです。「関係した女性をきちんと世話する源氏は立派ですね。これは式部の男性への願望でしょうか」と先生。そして「男性の仕事や政治・経済にまで触れた幅広い物語を書いている」とも評価。

次の『すま(須磨)』は、講座生の音読で進められ、「皆さん、古文に慣れてこられましたね」と2~3の注釈だけでした。さて、優しい朱雀帝は、朧月夜を許したばかりか、源氏をも帰京させようかと思い始めるのでした。次回から源氏の権力の復活を読み取っていきます。

今日も、物語を読み解きつつ、その場面や言葉に関連して志賀直哉や奈良の地名など興味深い話が伺えました。旧居の庭は、ツワブキの黄や赤く熟したサネカズラ(美男蔓)の実、鈴なりに実った柿の実など秋色満載。受講生をはじめ見学者の方々は、そんな旧居の風情を心いくまで味わっておられました。

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