学校法人奈良学園

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◇2011-11-28 (月)

秋期第3講座「近代文学シリーズIV」の第3回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で秋期第3講座「近代文学シリーズⅣ」(全6回)の第3回を開催しました。講師は、京都大学以文会評議員で文学講師の植村正純先生です。

先生は開口一番、「この調子でいくと、"秋を描く"が"冬を描く"になりそうですが・・・」と皆を笑わせられてから、前2回に読み取ってきた「文学に描かれた秋」をまとめてくださいました。それによると、「fall of leaves」や「Les feuilles mortes」、つまり落ち葉や枯葉が秋の象徴として描かれることが多く、それは恋や愛、人の「喪失」なのだけれども、その憂愁を描くものと、「転生」(生への意志)に向かうものがあるとのことです。

その作品例として、ヴァレリー(村松剛訳)の『海辺の墓地』、芭蕉の「白菊の目に立てて見る塵もなし」、島崎藤村の『秋風の歌』などを解説しながら紹介してくださいました。
そして、宮沢賢治の『やまなし』と『永訣の朝』(『春の修羅』)を朗読してくださり、「宮沢賢治がどういう人生を歩み、どういう人生を歩こうとしたのかは、この2作品に表出されているのではないかと私は思います」とおっしゃいます。

そして次回鑑賞予定の芥川龍之介の『秋』では、季節描写に注意しながら、主人公・信子の心の中を読み取ってくるという宿題が出されました。21世紀になって読者が、世界的に増加現象にある芥川作品。「"人生を生きる"ということに今なお新しいものがあるということでしょうね」との言葉に、皆さん深くうなずかれていました。

講座中、愛知からの見学者が「宮沢賢治!? 私、先日花巻に行ってきました」と教室に入ってこられ、先生に資料をいただかれる場面もありました。

今日はまた、夏の講座の講師の一人で画家・中村一雄氏の計らいによる石村亭(日新電機迎賓館/京都/非公開)の特別研修がありました。本講座終了後、同亭を訪れた有志の方々は、谷崎の京都での私生活と執筆活動、また志賀直哉との交流についてなど、同館の井上昌幸氏らによるエピソードを交えながらの丁寧な案内を受けました。母屋や書斎、茶室、回遊式の日本庭園などをゆっくり見学後、この貴重な機会が設けられたことに感謝感激の面持ちで帰途に着かれました。

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