学校法人奈良学園

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◇2011-12-05 (月)

秋期第3講座「近代文学シリーズIV」の第4回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で秋期第3講座「近代文学シリーズⅣ」(全6回)の第4回を開催しました。講師は、京都大学以文会評議員で文学講師の植村正純先生です。

はじめに先生は文学作品を読む上でのルールを押さえられました。「 "作品を読む"ということは、作中の他者を読みながら、同時に"自己を読む"ことだから、読みたいように読めばいいが、最低限のルールとして"叙述に沿う"ことが大切。作者へのマナーですね」とおっしゃってから、前回読んだ秋を描く作品のまとめから始められました。

宮沢賢治の『やまなし』の冒頭「二枚の青い幻燈」と最後の「私の幻燈は・・・」の意図的な表記や、『永訣の朝』(『春と修羅』)の「これらふたつのかけた陶椀に」雨雪(みぞれ)を取ってくる下りを復習しました。そして、堀辰雄の『風立ちぬ』の 「風立ちぬ、いざ生きめやも」にあるように、 "喪失"を経て生き直していく力強さを表現していることを確認し合いました。

さて宿題とされていた芥川龍之介の『秋』。その季節描写に注意しながら、主人公・信子の心情を読み取っていきました。本日欠席の受講生の中に、先生が示されたキーワードに対し事前に課題提出された方があり、その方の解釈も含めて、皆で"大きな独り言"を言い合いました。皆さん、まさに叙述に沿いつつ、自己体験をフィードバックさせながらの読み取りをなさっていました。

最後に先生は、この短編は季節の移ろいの中に、①青春の夢 ②自己犠牲(=自己満足)③肉親(姉妹)の絆 の3つの "喪失"が描かれているとまとめられました。次回は、芥川龍之介の『蜜柑』と、あの司馬遼太郎が書いた、奈良の歌人であり画家である六條篤についてとその作品を学ぶ予定です。

本日はまた、受講生の衣川堅二郎氏が上梓された短歌集からの3首を、ご本人に詠んでいただく機会も持てました。旧居の庭では、紅葉が見ごろとなり、梢で赤々と燃える葉も芝生や敷石に舞い降りた葉も共に、訪れる人の目を楽しませてくれています。

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