学校法人奈良学園

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◇2011-12-12 (月)

特別公開講座《古典文学シリーズⅢ》を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で特別公開講座《志賀直哉旧居で読む古典文学シリーズⅢ》第8回を開催しました。本講座は"源氏の後半生"として『花宴』から『幻』までの要所の抜粋を、紫式部の男性観、女性観などとともに読み進めてきました。講師は当館の北森貞次館長です。

前日の奈良マラソン2011の賑わいが嘘のような静けさを取り戻した旧居界隈の朝、今年最後となる源氏物語の講座が始まりました。

本日は『よもぎふ(蓬生)』からです。源氏が須磨にいる間、援助もない末摘花の生活はうらびれて冴えず、荒れ果てた常陸の宮邸で源氏を待ちわびつつひそやかに暮らしていた下りを読んでから、『せきや(関屋)』に進みました。

源氏から逃げ、夫の任地・常陸の国へ同行していた空蝉が、任を解かれた夫と共に上京する途中の逢坂の関で、石山寺へ参詣する源氏とすれ違う折の様子が描かれています。顔を合わすことはなかった二人ですが、互いに心の中で詠んだ相聞歌が交わされます。

続いて『ゑあわせ(絵合)』で、ここは梅壺女御(六条御息所の娘・前斎宮)と弘徽殿女御、即ち冷泉帝の奥さん同士が絵を競い合い、源氏が後ろ盾する梅壺女御が勝つ場面です。先生は、藤壺が女ではなく母として生きる道を選んだのは、源氏との不義の子・冷泉帝の妻に前斎宮を迎え、今や絶世の源氏に後見を務めてもらう、という日の為だったとこの段の重要性を押さえられました。

またこの段のまとめとして、桐壺帝が源氏の幼少時から言って聞かせた "実学の大切さ"、つまり才学(学問)ではなく本才(実学・芸術)を学べ、ということを現代の教育事情にも触れながら話されました。そして「平安時代に式部はもうこんなことを桐壺帝に言わせている。すごいですね。皆さんも何か実学を。楽器などやってみてください」と。

今一つの式部の"すごさ"として「盈虚(えいきょ)思想」を挙げられます。人生の最高点にいる源氏をここで出家させることで、この世の無常観を描いており、これがそのまま、『平家物語』の冒頭となるのだそうです。

講座終了後、「先生、今日の源氏も良かったのですが、"実学が大切"とのお話に感激です」と、60歳半ばから始められたフルートのことをガッツポーズさながらに報告された方がいらっしゃいました。また「曲がりなりにも、源氏を一人で読めるようになりました」と、それこそ先生の本望とも言える報告をされた方もありました。

旧居では、南天や万両が赤い実を付けて冬の庭を彩り始めたなか、南庭ではオレンジ色の楓が名残りの輝きを見せています。

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