◇2024-12-09 (月)
12月9日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、奈良学園公開文化講座第76回「古代ギリシャの死生観」を開催しました。講師は奈良学園登美ヶ丘中学校・高等学校教諭の上野久美子先生です。
古代ギリシャは一般的に「専制に対する自由」「野蛮に対する理想」など、政治的にも文化的にも理想的な文明であるというイメージが持たれているようです。そうした古代ギリシャにおいて、後の時代にキリスト教や仏教で説かれた思想とは異なる死生観を持っていたようです。
まず、文学の観点から、その中で表現されている死生観についてお話いただきました。『イーリアス』『オデュッセイア』を書いたホメロスは「死は運命によって定められたもの」と考えていました。『オイディプス王』『アンディゴネ』を書いたソフォクレスは「死は重要な選択の瞬間」で、「どのような死に方をするかの選択が重要であり、つまりどう生きるか」を問いかけました。
また『メデイア』『ヘラクレス』を書いたエウリピデスは、死後の世界を疑問視し、「避けられない運命に対する人間の弱さ」を強調したそうです。
次に、哲学者の観点から、死に対する考え方についてお話いただきました。ソクラテスは、死を含めて「知らないものを恐れる必要はない」と説き、重要なのは「どのように生きたいか」であると語ったそうです。
プラトンは、イデア論の観点から、「肉体の死は牢獄からの解放」であり、「魂は死後も変わらず存続し続ける」という考え方を持っていたそうです。エピクロスは、快楽主義の原理に基づいて、「死後には私たちは存在しない。死は何も意味しない」と語っていたそうです。
続いて、本日の講座内容と関連して古代ギリシャの神々の系譜などについて教えていただきました。また、古代ギリシャで墓碑に描かれている人々の像を通し、そこから読み取れる死生観についてご紹介いただきました。