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◇2024-06-10 (月)

奈良学園公開文化講座 第70回《国宝と関わって》を開催しました

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 6月10日(月)、奈良学園セミナーハウス・志賀直哉旧居にて、奈良学園公開文化講座第70回「国宝と関わって」を開催しました。
講師は興福寺国宝館・元館長の小西正文先生です。


 小西先生は、お父様の勧めで国立文化財研究所の小林剛先生と出会ったことが、文化財に携わるきっかけとなったそうです。それ以降、多くの仏像、絵画、工芸品など奈良の古文化財の保存や修復、並びに国宝展などに携わってこられました。文化財を守るという観点から、これまでに経験されたエピソードや、その関わりの中で出会ってきた人々についてのさまざまなお話をいただきました。特に国宝展などにおいて、文化財を遠距離移動させるにあたってのさまざまな運送技術の進歩について教えていただきました。かつて国宝級の仏像などを遠距離に運ぶ時は、仏像を麻布で何重にも巻き付けたそうですが、現在では優れた緩衝材が多く開発されているようです。


 また運送のトラックも、大型化し、大きく横開きする荷台の中は、文化財にストレスをかけないように適切な空調が施されているそうです。阪神淡路大震災の経験に基づいて、相当の揺れがあっても、仏像が倒れないように、地震の揺れを吸収する置き台なども開発されていると教えていただきました。そうしたさまざまな技術を目にすると、それに関わって新しい文化財保護に労力を注いでいただいている方々に対して、心から敬意を覚えるそうです。


 さらに文化財を害虫から守るためのガス燻蒸のお話もしていただきました。特に古文書の保存を考える上で、害虫駆除をどうするのかが大きな課題だそうです。時には多くの学生と一緒になって、膨大な古文書を1枚ずつ開いて、害虫による損傷や害虫そのものを見つけ、掃き取る作業をされたエピソードをお話いただきました。


今後、文化財を保護していく技術や保護の必要性を知り、どう継承していくのかを考えていくことが大事だと教えていただきました。


 旧居の庭のサルスベリ(百日紅)の枝にアシナガグモの巣の網糸が初夏の太陽を受けて繊細に光っています。まだ殺虫剤がない時代、お寺や神社の宝物庫にクモが巣を張っていると、喜ばれたそうです。クモは文化財などに被害を及ぼす多くの害虫を捕食することで知られています。旧居に住まうクモたちも、この貴重な建物を見守ってくれているのかも知れません。

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