学校法人奈良学園

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◇2022-04-25 (月)

4月の志賀直哉旧居

  • 4月の志賀直哉旧居

『暗夜航路』を完成させたと言われている旧居の2階の窓から北東方向を望むと、古来より信仰の場でもあった御蓋山を望むことができます。
晩春の奈良の風景は、葉桜を始め、清々しい緑に彩られています。

志賀直哉は随筆『奈良』の中で、この眺めの美しさに触れ、「兎に角、奈良は美しい所だ。自然が美しく、残っている建築も美しい。そして二つが互いに溶けあってゐる点は他に比を見ないと云って差支えない。今の奈良は昔の都の一部分に過ぎないが、名畫の殘欠が美しいやうに美しい」と描いています。
2階の書斎に佇むと、執筆活動を精力的に行うために志賀直哉がこの地に移り住んだ理由がわかるような気がします。


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山の風景から真下の旧居の庭の方へ目を転じると、まばらに開花を始めたツツジ(躑躅)の花が目に入ります。
梅や桜、椿の花が終わった旧居の庭では唯一、華やかさを楽しませてくれています。

志賀直哉は作品『赤城にて或日』の冒頭で、「最初に咲くのがよく赤城躑躅と云つて東京の縁日などで堅い蕾のまま枝を賣つて居る、あの躑躅」に続き、計3種類のツツジについて書いています。
志賀直哉が花について、細かく描写することは稀で、その時に出会ったツツジの咲き様がよほど印象深かったと思われます。
そう考えると現在、旧居の庭で咲き始めたツツジの花は、志賀直哉が感じた時と同じ空気を、私たちに伝えてくれているようです。


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旧居の庭では他に、無骨なサルスベリ(百日紅)の枝から、新鮮な緑の新芽が伸び始めています。


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池の淵ではアヤメ(菖蒲)の葉が真っ直ぐに伸び、まもなく菖蒲色の花を咲かせる準備を整えています。

これから晩春、梅雨、初夏を迎え、ますます賑やかになりそうです。

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