◇2017-02-27 (月)
本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居において、「近代文学講座」と題した連続講座を開催しています。京都大学以文会会員・植村正純先生を講師にお迎えし、近代文学における「文学表現の諸相」を学んでいます。
後期第4回目となる今回は、ブルック・ニューマンの『ロストターン』が取り上げられました。五木寛之氏が翻訳した、やさしい短編小説。前回読んだポール・ギャリコの『雪のひとひら』同様、ファンタジックで童話のような作品ですが、人生哲学を私たちに考えさせてくれる作品です。
講座では、駆け足で物語のアウトラインを追いながら、作品のなかに込められた人生哲学が拾い上げられました。生きていれば誰しもが経験する「孤独」や「喪失感」、気持ちを共有できる「友人の存在」、そして「実存主義」...。
先生は、カギとなる文章を拾いながら丁寧に解説されました。やさしい言葉で語られるがゆえに、心に残る素敵な作品でした。
今週半ばにはお水取りが始まります。お水取りが終われば、本格的な春でしょうか。旧居の庭では、早春を告げる白梅がたくさん花を咲かせていました。