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◇2015-11-30 (月)

近代文学講座《文学表現の諸相》後期第2回を開催

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11月の最終日となる30日、本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居において連続講座「近代文学講座」の後期第2回が行なわれました。この講座では、講師に元京都大学以学会会員・植村正純先生をお迎えし、近代文学における「文学表現の諸相」について学びます。

本講座では、前期からこれまで井上靖の詩と小説を題材として講義が行なわれてきましたが、井上を取り扱うのは今回が最後。先生は、終戦直後の昭和21年に発表された詩『比良のシャクナゲ』と、その4年後に発表された同名の小説を読みながら、井上靖の文体や描き方などをまとめられました。

井上靖は、「うれしい」「悲しい」「美しい」などという直接的な表現をほとんど用いません。事物に人間や人生を託し、象徴的に表現します。「点綴体」とも呼ばれるその文体によって、岬に寄せた大海の静かな潮が少しずつ入江に向かって波紋を進めていくように、壮大な作品世界が読者の心にきめ細かに刻み込まれていくと先生は解説されました。

井上靖は、同じ題材について2度執筆しています。昭和26年発表の『利休の死』と、同56年発表の『本覚坊遺文』。どちらも千利休と豊臣秀吉の関係をテーマにした作品です。先生は、一人の作家が同じテーマで書くことは多くはないと述べられ、「作家生活を重ねるなかで、利休に対する関心と創作意欲をずっと持ち続けたのでしょうね。もっと書きたかったのでしょう」と朗らかに話をされました。

本講座は月1回行なわれていますが、12月は休講です。次回は1月25日。葉室麟、山田詠美など現代の作家の作品を見ていきます。

旧居の庭の紅葉がようやく始まりました。赤と綠の楓が、クリスマスを思わせます。

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