学校法人奈良学園

ニュース & トピックス
ニュース & トピックスニュース & トピックス

ニュース & トピックスニュース & トピックス

◇2015-10-26 (月)

近代文学講座《文学表現の諸相》後期第1回を開催

  • 近代文学講座《文学表現の諸相》後期第1回を開催
  • 近代文学講座《文学表現の諸相》後期第1回を開催
  • 近代文学講座《文学表現の諸相》後期第1回を開催
  • 近代文学講座《文学表現の諸相》後期第1回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居において、近代文学講座の後期第1回が行われました。この講座では、近代文学における「文学表現の諸相」について学びます。講師には前期に引き続き、元京都大学以学会会員・植村正純先生をお迎えしています。

後期初回となる今回の講義ではまず、後期全5回についての概略説明がありました。前期では、井上靖の詩や小説、エッセイなどを題材にその表現手法やモティーフの取り扱い方を考察してきましたが、後期前半も引き続き、井上の作品に取り組みます。また後期後半では、山田詠美や葉室麟といった現代の作家の作品にも目を向けるとともに、高浜虚子など奈良にゆかりのある作家の作品もみていきたいと先生は話をされました。

さて、今回の講義の主題として扱われたのは、井上靖が昭和39年に発表した「褒姒(ほうじ)の笑い」という詩と同名の説。ともに中国の故事をモティーフにした作品です。−−− 類稀なる美貌の持ち主であるがゆえに貧しい家の出身でありながら王のもとに嫁いだ褒姒は、まったく笑わない女性でした。王は褒姒の笑顔を見ようと手を尽くしますが、褒姒は一向に笑わない。褒姒を笑わせようと最後に王がとった手段は王自身をも滅ぼす愚かなものでした。井上靖はこの故事を使って何を表現したのでしょう。詩では「人間のなすことの愚かさ」を、小説では「運命に翻弄される人生」を描いていると先生は解説されました。井上靖は、同じモティーフを使って異なることを表現しようとしたのです。

この「褒姒の笑い」という作品は短編でとてもわかりやすく、おもしろおかしい作品です。先生の朗読を聞いている際には、受講生の笑い声も聞かれましたが、先生の解説が始まると受講生の皆さんもそれぞれに考え込んでおられるようでした。

朝夕が冷え込んでくるようになりました。旧居の庭の楓も少し色づき始めています。

▲ページトップ

Copyright (C) Naragakuen. All right reserved.