学校法人奈良学園

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◇2013-06-10 (月)

古典講読講座《伊勢物語》第2回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《伊勢物語》第2回を開催しました。講師に、京都女子大学国文学科教授の西崎亨先生をお招きし、本年10月まで月1回のペースで『伊勢物語』(日本古典文学全集/小学館)を"拾い読み"と称して読み解いています。

第二講の本日は、先だって中宮寺跡で「難波津の歌」の一部が刻まれた瓦片が出土したというニュースから、「ヘラ書き」文字の話で始まりました。「刻書」が焼成後に刻まれるのに対し、「ヘラ書き」は土が生乾きの間にヘラで記すもの、職人が手習いしたものだろうとした新聞記事は正しいが、職人は、文字という意識ではなく図形と見て書いた可能性もあると、「由」の文字を例に話されました。

続いて、前回の質問への答えも含めて、「とこ」「とこ」「とこ」など、同じ言葉なのに表記が違うのは、創作者の視覚的な考慮からだということ、同じ表記でもアクセントが違えば全く意味が異なってくることなどを、定家の用字意識から説明してくださいました。「だから、原文で読むといろいろな発見があって面白いのです」と、先の講義で強調されたことを繰り返されました。

アクセントの違いでは、『マドンナたちのララバイ』(岩崎宏美)の歌詞「男たちは傷を負った戦」は「戦」、また浦島太郎の「帰ってみればこはいかに」が「怖い蟹」の意になっていると、ユーモアたっぷりにわかりやすく日本語の深さを教えてくださいました。

先生は、『伊勢物語』九章の「東下り」中、「思ひなして」「きけり」と「きけり」「八橋といひけるは」「かきつた」「いたり」「日も暮れ」等、表記の一つひとつを「なぜ? どうして?」と丁寧に拾いながら読み進められます。「"かきつはた"は "垣つ幡"。ここに持ってくることで京の文化圏と東国圏の境を表すという大きな意味があるのです」と、読み過ごしそうな箇所にスポットを当てて詳しく教示くださいました。

「僕は言葉にこだわり過ぎる癖がありますが、大体の流れと主人公の男の気持ちは汲み取りながら読み進めていきます」とくくられました。次々と展開される日本語の面白さに、受講生の皆さんは「片仮名の書き方でその時代を推し当てられると知り、勉強になりました」「他の古典や古文書などを読むとき、先生に教えていただいたことを生かしたいです」と感想を話されました。

旧居の庭では、ホタル草が可憐な姿を見せ、梅が大きな実をつけました。池では、先月産卵されたモリアオガエルがおたまじゃくしとなり、親ガエルたちの合唱が響く池の中を泳ぎ回っています。

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