学校法人奈良学園

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◇2013-02-04 (月)

後期近代文学講座第6回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で後期近代文学講座「文学表現の諸相」(全8回)の第6回を開催しました。講師は京都大学以文会評議員で文学講師の植村正純先生です。

講座前に当館の北森貞次館長から、志賀家からの寄贈品についての報告と見学案内がありました。昨年末、"旧居にこそふさわしい"と、昨夏の扁額「直哉居」に続いて寄せられた4点です。直哉の書斎机、同じく『暗夜行路』を書き上げたと言われる二階書斎の二月堂文机、家族や来客らと愛用したクローバー型テーブルと大壺の紹介です。

ひと月半ぶりの講座ということで先生は、本講座の前半に読んできたことのまとめと、後半の今から読み取ろうとしている内容をかいつまんで話されてから講義を始められました。

前半は、近代文学における「文学表現の諸相」と題して、作家による様々な人生の断面の表出を、後半はレジスタンスを素材にヒューマニズムを描いた作品に続いて、"新感覚派"と呼ばれる作家、川端康成と横光利一の短編を読んでいます。

先生は、川端康成の『掌の小説』を、「彼が40年間に書いた127の短編が入っており、作者像を知る上で手っ取り早いですから」と紹介して取り上げられ、その中の数篇を読みました。「夏の靴」「化粧」「バッタと鈴虫」です。

また横光利一作品は『頭ならびに腹』『春は馬車に乗って』を読みました。後者は、病魔に犯された愛妻・小島キミ(同棲2年で病死、その後に婚姻届を提出)との愛と葛藤の日々が映像的描写や会話文でつづられ、最後に"明るい救い"で締めくくられています。

先生はまた、川端と横光は共に菊池寛に師事し、二人は同年代(横光が1歳上)でもあり、生涯の朋友であったこと、横光が49歳で病没したときの弔辞を川端がすぐに用意したことを話され、その『弔辞』全文を読みました。

次回はサルトルの『壁』です。先生は導入として、作品の時代背景であるスペインの内乱に触れ、人民戦線と反乱軍の衝突についてや、『壁』の登場人物のプロフィールを簡単にレクチャーされました。「反乱軍につかまり3時間後に処刑される人民戦線側の4人。その生態を描くことでサルトルは何を言いたかったのかを読みましょう」とくくられました。

講座終了後、受講生の皆さんは、直哉が実際にこの旧居で愛用していた品々を見学し、「お湯飲みの跡が付いてる! 生活感あるわぁ」「立派な書斎机ですなぁ」などと、感想を話されていました。旧居の庭では、ここ数日のあたたかさでか、馬酔木(アセビ)に白くかわいらしい花が数輪見られるようになりました。

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