学校法人奈良学園

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◇2012-08-27 (月)

夏期近代文学講座第7回を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で緑陰講座「文学表現の諸相」第7回を開催しました。講師は京都大学以文会評議員で文学講師の植村正純先生です。

8月の最終週、朝晩は涼風も吹き始めましたが、日中はまだまだ暑さが厳しく、汗をぬぐいつつ出席される受講生を、玄関でムラサキカッコウアザミと小判草が涼やかに出迎えました。

本日は講座前に北森館長からビッグニュースが伝えられました。志賀直哉の居場所を表す扁額『直哉居』が寄贈されることになったと話され、その受納式と記念講演会のお知らせがありました。

さて、本日と次回で「作歌と文体 斉藤茂吉」を学びますが、まず「いつものように"茂吉の人となりと、どういう作品を残した人なのか"という輪郭をつかんでからその作品によって裏づけをしていくというやり方で進めます」と先生。

そして、茂吉作品鑑賞のポイントを大きく(1)伝統的な詩形(短歌)を使って現代人の生々しい生活感情を表出 (2)茂吉文学の魅力とは と示され、(2)については●多面性・多重性(彼の人生と文学活動)●歌は「悲しきwonne(歓喜)」に象徴される人生観・詩情 であるとされました。

その「歌は悲しきwonne」という逆説的表現については、●「生きる悲しみ」の詩的浄化(昇華)●「運命愛」への共鳴 ●茂吉は人麻呂、西行、芭蕉と並ぶ「旅人(人生の)」
とまとめられました。

山形から上京して東京に住み、医者であり歌人であり、日本人であり欧米文学にも造詣深い茂吉。恩師や兄弟の死、妻輝子の破倫(不倫)騒動と別居など、悲喜こもごもの人生をいとおしみ、それを言葉の世界に表出した茂吉。即ち、人生の持つ真実の姿を明らかにしてその中に住まおうとしたことを確認して、歌集『あらたま』を読みました。

大正2年から3年にかけての歌では、コオロギ、おたまじゃくしや蛍など、対象物を「写生」しながら自己投影していると説明されました。その「写生」とは、"自然自己=元の生を写す"ことだとされ、苦境・苦悩の中でその運命をいとおしみ、「やるぞ!」と決起の意を示す作品群を味わいました。

歌の鑑賞以外にも"うれしい寄り道"で予定通りに進まず、「次回はこの続きから『白き山』まで"マラソン"で駆け抜けられればと思います」と、今日の講義を終えられました。受講生の皆さんは、「いつもながら濃く広い内容のものが学べました」と喜んでいらっしゃいました。

9月11日(火)に扁額の受納式を、また同24日(月)10時から扁額受納記念講演会「熊谷守一と書」を同館で行います。その扁額は、書家熊谷守一によって書かれたもので、朱墨は直哉が富岡鉄斎から譲られたのを熊谷守一に贈ったものです。講演会へ出席希望の方は同館(0742-26-6490)までお問い合わせください。

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