学校法人奈良学園

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◇2012-08-20 (月)

特別公開講座《古典文学シリーズIV》を開催

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本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で古典講読講座《平家物語》第10回を開催しました。当館の北森貞次館長を講師に、『平家物語』(日本古典文学全集/小学館)を読んでいます。

お盆も過ぎたものの、日中は35~36℃にもなる酷暑が続く奈良ですが、本館のある高畑界隈は奈良公園に隣接していることもあり、心なしか緑陰の風が感じられます。玄関で受講生を迎えたのは某山野草の会の方から善意でお寄せいただいた鉢植えの小判草です。

本日は、前期古典講座の最終回となります。まず、「KOBE de 清盛」推進協議会発行のパンフレット「神戸・散策マップ 清盛ゆかりの地発見」などを参照しながら、清盛にとっての「福原(現神戸)」について触れられました。

そして、神戸から講座に通われている受講生の澤田さんに「神戸について少し話してください」とバトンタッチ。澤田さんはイラストMAPを基に、名所やイベントなどをミニガイドされました。

続いて、先生は「平家物語の中で清盛が登場するのは、今までの段あたりまでですので、今日は清盛を振り返っておきます」と、「平清盛の略歴と政治感覚」と題して、清盛の出生から死に至るまでをざっとまとめられました。

ここでは、清盛が白河法皇の落胤(※1)だったことが異例の昇進に結びついたこと、寺院との結びつきを重要課題としたいきさつや、親族の入内・皇子出産、関白との縁組、関白死去による遺領(※2)相続など、外戚としての地位と財の拡大などを確認しました。

次に「清盛とその一族」のおさらいです。実父白河法皇、父忠盛、義母池禅尼、弟経盛・教盛・頼盛・忠度、妻時子、長男重盛や南都焼き討ちの五男重衡、高倉天皇の中宮で安徳天皇の母である三女徳子をはじめとする六男八女の子どもたちについて要点を話されました。

清盛の性格については『十訓抄』(竹内理三『日本の歴史』訳)を引用され、「家来の扱い一つにも思いやり深く、情のあるやさしい人物だったようです」と説明されました。

さらに平氏政権の構造についても触れられ、清盛の功績については、「遣唐使以来、初めて目を海外に向けた人です。博多湾や神戸港を整備したのは清盛です」「宋との盛んな貿易を行い、海外の文化をもたらしました」と話されました。そのため清盛は、都にさほど離れぬ海の要所「福原」に別荘を置いたというわけです。

前期の講座が終了し、受講生から大きな拍手が北森先生に送られました。そして「今日は清盛の全体像と時代背景、人物関係とかを整理していただけて、とてもよかったです」と告げて教室を後にされる方もありました。旧居では百日紅の花が満開となり、南の庭では夏水仙があたりの緑にピンクを点じています。

 ※1 落胤(らくいん)・・・認知されない私生子
 ※2 遺領(いりょう)・・・死後に残された領地

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