学校法人奈良学園

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◇2010-11-01 (月)

秋季期特別公開講座A(全5回)第4回を開催

本学園のセミナーハウス・志賀直哉旧居で秋季期特別講座Aの第4回目『直哉と奈良』を開催しました。講師は、京都大学以文会評議員の植村正純先生です。

先生はまず、正倉院展開幕中ということで、正倉院にゆかりの深い井上靖の『漆胡樽』と、森鷗外の『奈良五十首』に触れた自身のエッセイを配付されました。そして、『漆胡樽』は御物を私たちに身近なものと感じさせてくれるものであり、鷗外は、正倉院を現代の私たちに伝える偉大な語り部だったと話されました。

さて、本日の講座は、直哉が奈良に滞在した13年間の生活と創作活動を伺い知ろうという内容です。先生は、直哉の作品の特徴を 「"自我・気分"の貫徹」とされました。直哉の88歳の人生の前半期は、 ①祖父母に育てられた幼少期 ② かなりの"父子相克" ③足尾鉱毒被害地視察計画の頓挫(父親の反対)という青年期 ④女中「C」との恋愛と家族の反対による破局 などがあり、奈良(主に本旧居)に住んだ42歳(T.14)から55歳(S.13)までの13年間は「調和・平穏」の時期であったと説かれました。それは、『暗夜行路』の結びにも表れているということを資料の作品コピーで確認しました。

そのほかにも資料として用意された『日曜日』、『奈良』、『颱風』などの短編を読み進めながら、直哉の奈良での家族との穏やかな生活ぶりや、直哉の奈良風評について、先生の解説を聞きました。

「僕は晴れ男のはずですが、この旧居での講座日は雨男ですなぁ」と先生が詫びられる秋雨模様の肌寒い日でしたが、多くの受講者は熱心にメモを取り、語り、笑いで、あっという間にサロンでの時間が過ぎました。そして「海外の作品例まで、いっぱい盛り込んでの講義が楽しいし、勉強になりますわぁ」と、喜ぶ声が聞かれました。

次回は11月15日(月)、北森貞次館長による歴史散策で、旧居界隈の破石(わりいし)や頭塔あたりの案内の予定(少雨決行)です。

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