登美ヶ丘講演

登美ヶ丘講演

第7回 (平成23年6月18日)

「宇宙と生き物の歴史」 京都大学総合博物館館長 大野 照文 教授

第7回は、京都大学総合博物館館長である大野照文教授をお招きしました。
最初に大野教授は、「35億年分のことを1時間で話します。分からないことは今後君たち自身で解決してほしい。そのために君たちは京都大学へ入ることが運命づけられているのです」と、冗談とも本気とも取れる先制パンチを生徒たちに喰らわせました。若い人たちに、もっともっと科学に興味関心を持ってほしい、自分たちの後に続く優れた研究者が出てきてほしいという願いが込められている一言でした。
そしてそこから35億年前に一気に遡り、この地球での生命の誕生の話になりました。生命には、様々な元素と水とエネルギー源が必要であること、そのそれぞれが宇宙やそこにある星によって作られたものであり、その過程は今の私たちの寿命などはとても及ばぬ気の遠くなるような歳月を経て出来上がったものであると説明されました。月のクレーターは隕石によってできたものであること、地球と火星は環境が似ているところがあること、月の動きが貝殻やサンゴの化石に記録されていること、氷河時代の話、カンブリアの大爆発の話など、具体的な話を元に、宇宙の中で、再三の大きな危機に見舞われながらも、地球の生命は 存続してきたのだと続けられました。
中高生にはやや難しい内容だったのかもしれませんが、理科の先生によれば、あれだけの内容をとても分かりやすい言葉でまとめられるとは、さすがにこの分野の第一人者である大野先生ならではの話だと感心していました。
最後に、大野先生は、「宇宙の大きな影響を受けて、生き物、我々は今も進化している。そうした科学の世界が君たちの目の前にある。大いに興味を持ち、その世界に飛び込んで、研究を志してほしい」と締めくくられました。
講演後の質疑応答では、生徒たちから、「生物はまた進化しますか?」「恐竜の全滅の原因は火山か隕石か?」などのたくさんの質問に、大野先生は丁寧に答えてくださいました。最後にお礼の言葉を述べた生徒は、「できれば研究に携わってみたい。生命の神秘を知ることで、“生きる素晴らしさ”を感じることができました」と講演の感想を述べました。